【開催レポート】神奈川県xRakuDemy体験版「総事業収入を伸ばすためのデータ活用・分析」

2023年11月30日


2023年9月、楽天と神奈川県の包括協定の一環として、楽天マーケティングデータを活用したワークショップRakuDemy体験版を楽天クリムゾンハウス(楽天グループ本社)で開催した。


「デジタル領域の知見を活用した地域振興」の一環として、神奈川県・横須賀市・相模原市・鎌倉市・伊勢原市・相川町・秦野市の7自治体13名が参加。「総事業収入を伸ばすためのデータ活用・分析」をテーマに、どのようにデータを読み解いていくのか、そこから導き出された情報をもとにどのようにターゲットセグメントを設定していくのか、という実務に活かせるグループワーク&ディスカッションが行われた。


背景

神奈川県包括協定の一つである「デジタルを活用した地域振興に関すること」の一環として、同自治体内のデジタル化促進の機運醸成、および自治体職員のデータ活用の意識醸成を目的にRakuDemy体験版を実施。


通常のRakuDemyは、データに基づいた課題の洗い出し、ペルソナ設定、具体的な戦略・アクション策定までを数日間かけて行う。本体験版では約半日でペルソナ設定まで取り組んだ。

これまで複数自治体とRakuDemyを行ってきたが、楽天グループ本社での開催は神奈川県が初の取り組みとなる。


取組内容


第1部「データ活用」マインドセット
「データ活用をすること」の意味・意義を考えるお題が提示され、グループディスカッションがスタート。各グループさまざまな意見があり、なかでも「データはあっても活用できていない」「施策実施のためのエビデンスデータを集めることが多い」といった意見が多くあがり、自治体におけるデータ活用の課題感が浮き彫りになった。


自治体におけるデータ活用の課題点(参加者の意見)
・行政には自然とさまざまなデータが集約されるが活用目的ではない
・基本的に紙資料になっておりデジタル化のハードルがある
・戦略・施策ありきでエビデンスのためのデータ収集になりがちだ
・データ活用のノウハウがないため民間企業に委託してしまう


第2部「RakuDemy実践編ーデータから目標と戦略を立てるー」
「データ活用」に関する共通認識や課題感を出し合ったのち、第2部では実際のサンプルデータを使ったグループワークへ。第1部の課題感であげられていたような「エビデンスのための必要な実績・数字をまとめていく作業」とは異なり、【データの中から特徴やパターンを見つけ仮説を立て、マーケティング戦略を組み立てていく】プロセスを踏んでいく。


グループワーク1
「総事業収入から次年度の目標を立てる」



「商業」「観光」「ふるさと納税」の各総事業収入がわかるサンプルデータをグループごとに分析。どの事業をどのくらい伸ばしていくか、各グループで話し合い目標を設計。目の前にある膨大な数値から何が読み解けるのか。所属部署やこれまで担当してきた業務によってもさまざま意見やアイデアが出ている様子。


「同じデータだから同じ目標になる」ということはなく、見る人・考える人の知見や注目する点によてアウトプットもそれぞれで、3グループとも異なる目標設計が発表された。このプロセスは、各担当者の分析力と互いの意見を融合させていく力が同時に問われるところでもある。


グループワーク2
「総事業収入を伸ばすためのターゲットセグメント・ペルソナ設定(マーケティング戦略)」



次に、各総事業収入とユーザーセグメント(※)をクロス集計したサンプルデータが配布され、マクロ視点からミクロ視点で特徴やパターンを読み解いていくフェーズへ。グループワーク1で設定した目標に応じてどこにターゲット設定するのか、そのターゲットのペルソナをどう設定すればいいのかなどディスカッションが行われた。
※ユーザーセグメント・・・年代・興味関心・ライフステージといった個人を特定しないデータ


制限時間ぎりぎりまで各グループが熱中して取り組まれている様子がうかがえた。最後は各グループから代表者が登壇し、グループワーク1で仮設だてた目標とペルソナ設定を発表した。


アウトプットされたペルソナ設定の一部例
<対象者>
男性(47歳)、大手商社勤務(年収1200万円)、茶髪で趣味はアウトドア・サーフィン
<家族>
妻子あり、妻はパート勤務、子どもは17歳の息子と14歳の娘 
<居住>
タワーマンション上層階
<対象者が最近気になること>
子供の進学、NISA、円安、親の介護、旅行


「データ活用」の具体アクションを体感!

グループワークが進むにつれ参加者同士の雰囲気も変わり、最後のペルソナ設定では司会の声が聞こえないほど盛り上がりをみせた。


最後の振り返りコメントでは、「職場でも共有し現場に活かしていきたい」「行政データとは違ったデータだったので興味深かった」といったデータ活用・分析に対する前向きな声も多く、RakuDemy体験版は終了。


RakuDemyを終えて(参加者の声)
・データに触れる機会は多いがそれを次につなげていくプロセスがわかっていなかったことに気が付きました

・行政内でもデータ活用の意識醸成をしていきたい

・今回のような客観的データを見る機会がないので面白かった

・データ活用が苦手な職員も多いのでこのワークショップはとてもいい機会だった

・行政で集計しているデータはどちらかというと調査のためのデータ、今回の(セグメント情報)生活に紐づいたデータから戦略を考えていくのが新鮮だった

・データを見える形にアウトプットし一人ではなく皆で意見を共有していくプロセスがよかった

・職員が少ないので一人でデータ収集・分析することが多い。様々な考えや意見を聞くためにもグループワークを現場でも取り入れていきたい

・データから課題を抽出しペルソナ設定までするのが興味深かった

今後の展開

神奈川県政策局いのち・未来戦略本部室未来創生グループの川口氏から今後の展開をうかがった。


「いのち・未来戦略本部室では、全庁横断的に様々な社会的課題の解決に取り組んでいます。

近年、社会的な課題が複雑化し、県民ニーズも多様化・個別化している中で、自治体の業務にも変革が求められています。

変革のツールとして、民間データの利活用は不可欠だと考えておりましたが、実際にRakuDemy入門編を体験し、その思いは強くなりました。

施策を届けたいターゲットをデータによって可視化することで、施策そのものの内容、情報を流す先、情報を流すチャネルにイノベーションが起こると期待しています。

しかしながら、庁内の各部署は既存の業務で手一杯ということも多く、民間データの導入という一歩を踏み出すのは容易ではありません。

そこで、我々が最初に担うべき役割は、詰まる所「水先案内人」なのではないかと思っております。
とはいえ、神奈川県庁のどういった業務に活用していくか、どのようなデータであれば活用できるか、を検討しないと前に進めませんので、楽天グループの皆様とのコミュニケーションを重ねて、今後のデータ利活用について検討できたらと考えています。」


データ活用に関してご興味のある自治体様へ

RakuDemyの内容についてさらに詳しく知りたい方、今後の取り組みとしてご興味がある方は、お気軽に下記のお問い合わせフォームよりご連絡ください。

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