2024年03月12日
人口減少・少子高齢化の進展を受け、これからの地域の課題解決や魅力向上に貢献する存在として「関係人口」に注目が集まっています。
本セミナーでは、マーケティングデータに基づく「関係人口」の捉え方についてご説明した後、愛媛県ご担当者様より関連事例紹介として、「物産をフックとした観光・ふるさと納税との事業シナジー拡大」に部署横断で取り組む意義や、今後の展望等をご紹介いただきました。
※記事中の所属はセミナー当時のものです。
◆セミナー名
デジタル活用x地域創生オンラインセミナー「データに基づく関係人口創出・活用術」
◆日時
2024年1月22日(月)13:00~14:30
◆対象
地域産品を通じた地域振興、自治体のDX推進・データ活用型施策、
観光・物産・ふるさと納税等の事業間の横連携によるシナジーの創出、
関係人口の創出・拡大やその活用にご関心のある自治体・関連団体職員の皆様
◆セミナー内容
【1】 テーマ説明「デジタル社会における関係人口の捉え方」
【2】 事例紹介「愛媛県における県産品マーケティングと事業シナジー拡大」
【3】 事例紹介「愛媛県における部署横断のDXとデータ活用」
【4】 座談会/質疑応答
冒頭は、デジタル社会における関係人口の捉え方について、楽天グループ株式会社 地域創生事業 共創事業推進部の中川からご説明しました。
一般的に、「関係人口」という考え方は、交流人口でも定住人口でもなく、特定地域と継続的かつ多様な関わりを持つ人々のことをさします。デジタル田園都市国家構想総合戦略(令和4年12月23日 閣議決定)では、人口減少社会における地域の経済活性化や魅力向上に資する存在として、関係人口の創出・拡大の意義に言及しています。
国土交通省が2020年に実施した「地域との関わりについてのアンケート」によると、三大都市圏居住者の27%にあたる1271万人が特定地域と関わりを有する関係人口であるとされます。全国規模の「関係人口」数は明らかになる一方で、「関係人口」はその多様性・広域性ゆえに、「自地域に関係人口がどれくらいいるのか」など、各自治体単位で定量的・定期的に把握することが難しいという側面もあります。
EBPM(エビデンス・ベースト・ポリシー・メイキング。証拠に基づく政策立案)が求められるこれからの時代にあって、施策立案・実行・検証の各段階における適切かつタイムリーなデータ収集は必要不可欠です。そこで、楽天グループでは、1億超の楽天IDに基づくマーケティングデータから算出した楽天流「関係人口」データの提供を通じ、関係人口の創出・拡大に取り組まれる自治体の皆様の効果的な事業運営・PDCAサイクルの確立をご支援しています。
特に、観光(楽天トラベル)・物産(楽天市場)・ふるさと納税(楽天ふるさと納税)の3領域に関わるデータをご活用いただくことで、当該地域がどのような属性の方々とつながりを有しているのか、経年でどのように変化しているのか、地域の稼ぐ力にどのように貢献しているのか、多様な視点から定量的に把握することが可能となります。
そうして、地域の現状を把握した上で、例えば、「ふるさと納税の寄附者が多い地域では、その基盤を生かして観光・商業へ送客する」、「観光客が多い地域では、旅行後の地域産品のEC購入やふるさと納税の寄附へとつなげる」など、地域の強みを生かした事業横断的な「関係人口の創出・拡大」施策の設計・運営をご支援しております。
次に、物産領域の強みを生かしつつ、観光・ふるさと納税などと連携した部署横断型のデジタルマーケティングを展開されている愛媛県の県産品需要拡大のお取り組みについて、愛媛県 営業本部の笠置規義様よりご紹介いただきました。
愛媛県は、2012年、全国に先駆けて、行政組織の中に営業組織を新設。県内事業者の「補助エンジン」の立場から、販売促進・販路拡大による「実需」創出を通じた地域経済の活性化に取り組まれています。
2019年には、愛媛県産品販促ブランド「愛媛百貨」を立ち上げ、デジタルマーケティングを活用した県産品の販売促進を開始。「愛媛百貨店」の施策展開や効果検証において、楽天グループのECプラットフォームやマーケティングデータをご活用いただいております。
2022年度からは、サステナブルに特化した県産品プロモーションに加え、観光やふるさと納税と連携した新たなプロモーション施策を展開。居住地や年齢などの顧客属性を踏まえた見込み客へのアプローチや、サイト間連携、クーポン等を用いた相互送客の仕組みを通じ、観光やふるさと納税といった他分野で生まれた「愛媛」との接点を「県産品の需要創出」へとつなげる施策を実施されています。
このような事業間シナジー拡大の推進は、愛媛のことが好きなファン=「関係人口」の獲得・育成という点にとどまらず、関係性の深化に伴う事業収入拡大という点からも、県産品需要の創出、ひいては地域経済活性化への貢献につながる可能性が考えられるとお話しいただきました。
その他、これまでの事業で蓄積されたデータを活用した商品開発・テストマーケティングの試みについてもご説明いただき、愛媛県のデジタルマーケティングのお取り組みの先進性が伝わる事例紹介となりました。
続いて、愛媛県 デジタルシフト推進課の泉慎吾様にご登壇いただき、愛媛県庁における部署横断の基盤となっているデータ活用や組織運営の仕組み等についてご紹介いただきました。
愛媛県では、2018年度策定の「デジタルマーケティング基本戦略」に則り、「手段のDX」と「人のDX」の両立を意識しながら、これまで着実かつ段階的にデジタルマーケティングを推進されてきました。データ分析ツールのテスト利用やモデル事業での試験運用などを経て、県としての統一ルール・ガイドラインに基づいたDMP(データマネジメントプラットフォーム)でのデータ蓄積を開始し、現在はBIツール等を用いながら蓄積されたデータの可視化・活用に取り組んでいます。
データの可視化・活用の推進にあたり、庁内には部局横断の「タスクフォース」を設置。営業本部(物産)・観光国際課(観光)・総務管理課(ふるさと納税)といった各部局で取り組まれている実需創出施策について、データを基軸に一体的な取り組みへと発展させ、実需拡大へ向けシナジーを創出することを目的に活動しています。
タスクフォース活動の一環として、デジタルシフト推進課が主体となり、RakuDash*を用いた月次レポーティングを実施。各期間における主な変化やそこから得られた示唆について関係者に共有することで、各事業におけるPDCAサイクル運用やEBPM実現を支援しています。
*RakuDash:各地域の稼ぐ力に資する商業・観光・ふるさと納税の動向を各種チャートで可視化するツール
その他、これまで蓄積されたデータ活用例として、移住分野におけるマーケティングの取り組みの進捗・成果もご紹介いただき、県一体となってデータ活用・デジタル化を推進されてきた愛媛県のお取り組みの一貫性・発展性が伝わるご講演となりました。
セミナーの後段では、愛媛県から笠置様・泉様、弊社から中川と愛媛県事業担当の田内の4名が登壇し、一般の参加者の方々からのご質問も取り上げつつ、データ活用や部局横断をテーマに座談会を行いました。
参加者の方々からは、「部局横断で取り組む際、データ分析を進めるにあたって特に工夫されていることは何か」、「施策の告知・宣伝活動はどのように行っていたのか」など、多岐にわたるご質問が寄せられ、部局間横断でのデータ活用や関係人口拡大に関する地方自治体の皆様の関心の高さがうかがえる機会となりました。
私たち楽天グループは、地域それぞれの現状・課題に真摯に向き合い、その先の未来の社会を共に創るパートナーでありたいと考えています。
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