自分の未来をかんがえる、地域の未来をかんがえる。

2024年01月24日


2023年9月11日、茨城県立下妻第一高等学校・附属中学校のクラスが、二子玉川の楽天グループ本社を校外学習として訪問。アントレプレナーシップ(起業家精神)醸成と、自分の住む地域への貢献意欲を高めるため、身近な所からSDGs(持続的な開発目標)を考えるワークショップを実施した。

また、将来について考え始める時期の中学生に向け、社員のトークセッションや社内ツアーも開催。本ツアーは8月、9月と2日間行ったもので、本記事は9月の弊社訪問についてレポートする。



茨城県立下妻第一高等学校・附属中学校は、地域創生の担い手、ひいては国際社会の発展に寄与するリーダーシップの醸成を教育目標として掲げる県立の中高一貫校だ。


民間からの校長公募採用への応募を経て、副校長に着任した生井秀一氏(2024年度に校長着任予定/4年間の任期付き)は、もともとEC責任者・DX推進の部長職を歴任した生粋のビジネスマンという異色の経歴を持つ。着任後は、「アントレプレナーシップを持ち、グローバルで活躍する学生の育成に取り組みたい」という熱い志で、学校と企業を結び様々なチャレンジに取り組んでいる。


「私がやりたいのは、アントレプレナー=起業家をつくるということではなく、アントレプレナーの「精神」を養うということ。「逆境に負けず立ち向かう力」そして「人を巻き込むネットワーク」「人間力」「構想力」など、起業家的な精神・思考を育むことを目指したい。」


事前の打ち合わせでそう語った生井氏。学校と企業を結び、探究的な学びをSDGsの視点や地域課題解決につなげていきたいという生井氏の思いと、持続可能な社会を、地域、出店者、消費者とともに作ることを目指す楽天グループの思いが一致し、今回の校外学習ワークショップが実現した。



当日は、楽天クリムゾンハウス内の見学からスタート。楽天の創業からの歩みや、事業拡大の様子をエントランスの紹介パネルで眺めたり、本イベント開催事務局である地域創生事業のフロアで仕事をする社員の様子を見学したりと、オフィスワークについてのイメージを膨らませる時間となった。


その後、ランチはお楽しみのカフェテリアに向かい、多彩なメニューの中から好みのランチを満喫し、「楽天社員になった気分!」と喜ぶ場面も。


社内ツアーを通し、従業員一人一人の多様な個性と価値観を尊重し、誰もが能力を最大限に発揮するための職場環境を体感。人種・国籍・性別・婚姻歴・子供の有無・宗教や政治思想・年齢・障がいの有無・性的指向・性自認などにかかわらず、すべての人に機会を提供する企業文化を学んだ。


めいめい好きなランチを楽しんだ様子


午後の第1部では、楽天社員とともに、SDGs(持続的な開発目標)11「住み続けられるまちづくりを」のゴールを軸とした、郷土愛の醸成、地域貢献の意欲を高めるワークショップを実施。


8月に行った『EARTH MALL with Rakuten』を活用した事前授業のおさらいからスタート。

重点課題でもあるSDGs12「つくる責任 つかう責任」への貢献を目指し、楽天市場で買うことができる、サステナブルに配慮して作られた商品を紹介している『EARTH MALL with Rakuten』。楽天市場の中には素晴らしいサステナブルな商品が埋もれているが、たくさんの商品から探し出すことは非常に難しい。「サステナブルな買い物をしたくても、どのように探していいかわからない」という声に応えて、サステナブルな商品を探しやすく、買いやすくした『EARTH MALL with Rakuten』を通じ、認証商品だけでなく、多角的な視点でサステナビリティを捉え直す上で大切な考え方を子どもたちに伝えた。


続いて、学生自らが調べた身近なサステナブル商品について、グループ内で共有。SDGsを軸にして、どれが最もサステナブルであるかをグループごとに決め、発表を行った。


プレゼンテーションでは、チームごとにユニークな工夫を凝らした内容が発表された。

例えば、プラスチック製の包装が海洋汚染につながっている問題を受け、紙の包装をしているお菓子や、本来なら途中工程で廃棄されてしまう食材を生かしたようかん、全粒粉のクッキーなど、生徒の着眼点はどれも鋭く、複数のSDGsに関連した商品も発表された。

消費する木材の量を最小限に抑えることのできる、竹を利用したティッシュ。これは、将来に向け森林を守ることと、さらに漂白工程を省くことで環境負荷も減らすことができる商品だ。また、プラスチック袋の代わりに風呂敷を活用することで、海洋汚染、地球温暖化の課題に対処でき、さらに伝統工芸の継承にもつなげられるといったアイデアもあった。


チームに分かれ、見つけてきたサステナブルな商品を共有


グループで話し合った内容を発表


第2部では、将来の職業観やキャリア形成についてリアルなイメージ形成を行うため、楽天社員が仕事内容の紹介や、これまでのキャリアの歩みを語るトークセッションを開催。3人の楽天社員が登場し、ファシリテーターを交え、社員それぞれが自身の現在の仕事の内容やこれまでの歩みを話した。


それぞれ異なるバックグラウンド、現在の業務内容を持つ社員の話に生徒たちには興味津々な様子で、学生時代持っていた夢や、現在のキャリアにいたるまでの原体験、中学時代にどのようなことを考えていたか、何に熱中していたかなど数々のエピソードが率直に語られた。


最後に、社員から生徒に贈るメッセージでは「迷わずいろんなことに挑戦してみる」「迷ったら自分で選ぶのが後悔しないカギ」など、悩み多き思春期の子ども達の背中を押す心強い言葉の数々に、懸命にメモを取る姿も。

質疑応答では、生徒から「好きなものがない。やりたい事を見つけるにはどうすれば?」「熱中しすぎて他に目が向かない」といった率直な問いかけに対し、人生の先輩としてアドバイスが贈られ、真剣な眼差しで力強く頷く様子がとても印象的であった。



終了後のアンケートでは、「私たちと同じくらいの年齢の時のお話を聞くことができて、とても勉強になったし、これから自分の好きなこと、嫌いなことを明確にして過ごしていきたいと思った。」「ずっと悩んでいたことの解決策が見つかって良かった!」「まだ将来の夢は決まってないが、そんな考え方もあるのかと考えることができてやる気がわいた。やってみたいことには分からないことが多いからこそ好奇心を持ってたくさん体験していきたいと思えた!」など、生徒たちの変化や喜びの声があふれた。


「キャリア学習を通じて様々な生き方を知ることで、自分の意思をもてるような機会につながったことは、生徒だけでなく保護者からも好評だったようです。」と後日談を語る生井氏。


中学校での取り組みを機に、2学期以降は同高校においても、探究的な学びをサポートすることが決定。SDGsと共に重要視されるアントレプレナーシップ(起業家精神)への意識づけを加味することにより、生徒の探究活動におけるテーマ設定の幅を広げ、より自由な発想での探究を実現するために、新たな学校教育への挑戦を下妻市と共に取り組んでいく。


最後に

アントレプレナーシップ教育や地域課題解決の意欲を高めるため、校長の思いと、楽天グループのミッションが合致し、開催に至った校外学習。最後に、今回のプロジェクト担当であり、次世代教育を担うエバンジェリストグループ担当者に、授業の狙いと今後の展望について聞いた。


「楽天の次世代教育を通して、何事をも成し遂げようとするアントレプレナーシップを持つことの重要性や、ビジネスがどう社会課題の解決、地域創生などにつながるかなど、自分自身の将来や地域の未来について真剣に考えるきっかけを提供できればと考えています。

また、教育現場においては、現場の先生方の負担を少しでも軽減できるよう探究的な学びをサポートし、地域全体で次世代を育む産官学連携を推進していきます。」(地域創生事業 エリアパートナーシップ推進課 エバンジェリストグループ 香月宏美)


 身近な生活や地域にもSDGsは深く関係していること、地域への意識を高めること。今回のワークショップは、まさにその着眼点を持つ大切さを、生徒自身が体感した「はじめの一歩」。企業の伝えたいことを一方的に学ぶだけではなく、自ら考えて発表し、企業で働く大人たちからフィードバックを貰うことで、生徒の記憶に残る気付きを生んだ今回の校外学習。

SDGsを通じた社会につながる学びの中で、自分の興味分野を深めながら自分なりの答えを導くこの経験が、正解のない社会を生きる力につながるきっかけになることを期待してやまない。


この取り組みは下記の動画でも紹介。[RNN] 楽天の次世代教育!中学生が楽天オフィスを見学

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