楽天社員と共に「パスポート不要の留学体験」で地域の課題を考える。

2024年05月29日

開催概要

2024年3月、楽天グループ株式会社(以下、「楽天」)・産業能率大学・東京都世田谷区による「グローバル・コミュニケーション・キャンプ・アドバンスト」が楽天クリムゾンハウスで開催されました。


昨年度のトライアルを経て本開催を迎えた今回のプログラムでは、産業能率大学の学生が、楽天の海外出身社員と英語でコミュニケーションを図りながら地域の課題解決に取り組みました。このプログラムは、多種多様な人材を有する楽天の強みと地域とのつながりを活かし、英語コミュニケーションスキルの向上、グローバルリテラシーの育成、地域社会への貢献などの機会を提供することを目指しています。


今年度は「海外出身社員おすすめの世田谷区1Day観光コース」の提案をテーマに、2日間ディスカッションを重ね、最終プレゼンテーションに挑戦しました。


取り組み内容

顔合わせ&オフィスツアー

学生2~3名に対して楽天の海外出身社員1名がメンターとして加わり、全7チームでスタート。

本イベントに参加した楽天の海外出身社員は、楽天が2020年3月より導入している、従業員のボランティア活動を支援する休暇制度を利用しています。募集定員の2倍近い応募があった中から9名が参加しました。顔合わせ後は、楽天クリムゾンハウス内のツアーやカフェテリアでのランチ時間も一緒に過ごし、親交を深めていきました。


2日間協業するメンターとの顔合わせ


  


グループワーク

事前に世田谷区より提示された31のスポットから、メンターはお気に入りの場所を選びます。そして学生は英語を使ってコミュニケーションを図り、メンターから海外出身者目線での各スポットの情報を引き出し、世田谷区の魅力を発掘しました。


「頭で考えすぎずコミュニケーションを取ってみることが1番重要」という先生の教えを、学生たちは積極的に実践していきます。必然的に会話量が多くなるワークですが、会議室のドアを開け放って実施するほどの熱気と活発なディスカッションが印象的でした。


  


  


発表

代表者1名が発表するのではなく、参加学生ひとりひとりが英語でのプレゼンテーションに挑戦しました。日本文化の多様性を感じられるプラン、赤ちゃん連れでも楽しめるプラン、五感すべてを使って楽しむプランなど、多種多様な着眼点でオリジナリティに富んだプランが出揃いました。


 


表彰

発表はどれも素晴らしく、選考は予定時刻を大幅に超過するほどに難航しましたが、最終的に世田谷区とメンターから1チームずつ優秀賞が選出され、賞状授与が行われました。



  


クロージング

ペニャ先生が最後に学生に伝えた「This is not my first rodeo.」というアメリカの言葉が印象的でした。次に同じように英語を使う場面が訪れたとき、「初めてではないから大丈夫、できる。」と自分自身に言い聞かせお守りになるような言葉です。


それを表すかのように、終了後のアンケートでは、「今回のプログラムで英語を学ぶことができたのはもちろんだが、それ以上に自信や失敗を恐れずに挑戦する気持ちといった分野をより養うことができたと考えている。」と英語の実践経験にとどまらずマインド面にも前向きな変化が見受けられました。他にも、「こんなに英語にしか囲まれない授業はないと感じた。」「自分のベストを発揮する機会が非常に多くあった。メンターさんからのフィードバックをリアルタイムで受け、言語以外にも「人柄」の影響力も強く感じた。」「自分の英語勉強のモチベーションにつながるよい機会だった。また、実際に働いている人との会話や外国人メンターとの会話、全てが貴重な体験だった。」「もっと英語が話せるようになりたいと思えた。」など、参加学生たちの充実した声があふれました。


メンターも同様に、「学生と話す良い機会でした!楽しい!」「時間が経つのが本当に早かったです。」と充実した時間を過ごせた様子が伺えました。


今回の取り組みを受け、当日の様子や今後の展望に関して、世田谷区職員の山本氏と産業能率大学准教授のペニャ氏にお話をお聞きしました。


東京都世田谷区 経済産業部 経済課 担当係長 山本 隆康氏


プログラムに参加した感想を教えてください。


何かを伝えるという取り組みは大事だなと思いました。そして伝える上で情報を深堀して内容に深みをもたせるなど、学生の熱量の高さが非常に印象的でした。楽天の職員の方も熱意を持って取り組まれていて、区としても一緒に取り組ませていただいてとても勉強になりました。前回は、防災情報の伝達を題材に世田谷で暮らす外国人の方の生活向上がテーマでしたが、今回はより街を知っていただく「観光」をテーマに取り組んでいただいたので、より世田谷区の街と密接に関わりを持った取り組みができる可能性が広がったなと思いました。


産官学の取り組みのポテンシャルや今後への期待を教えてください。


色々と共創すると、お互いの持ち味を組み合わせたり足りないところを補い合ったりすることができる。我々としても、様々な事業者様と地域を盛り上げる取り組みをしていきたいので、それが区だけではなくて、楽天や産能大さんも一緒に産官学連携のところで取り組んでいけると、区民の方や幅広い方々によりリーチできると思いましたので、今後もこのような取り組みを引き続きさせていただきたいと思っています。


産業能率大学 経営学部 准教授 ペニャ 詠子氏


前回との比較も含めてお感じになられたことを教えてください。


この「グローバル・コミュニケーション・キャンプ・アドバンスト」は今年が2回目です。厳密には昨年はトライアルだったので、本開催は今回が初めてでした。昨年はプログラムに対するフィードバックが欲しかったので、学校側から何人かの学生に参加を促しました。しかし今年は参加したいと意思表明した学生が能動的に参加しています。そういった意味で昨年とは全く異なります。最初はどうなるかわかりませんでしたが、結果には本当に満足しています。


英語を話すことは彼らにとって特別なものではありません。とても当たり前ものになってきています。誰かに英語で話しかけられれば、自然と英語で返します。日本にいると英語を話す機会があまりないので、通常は英語を感じると「ムリムリムリ」という反応になるケースが多いです。しかし、彼らは「ムリ」と言うことはなく、自分で何とか伝えようと奮闘しました。その姿が本当にうれしいです。


本プログラムの重要性を教えてください。


我々の大学にはいくつかの留学プログラムがありますが、コロナの間はそれらが全く実施できませんでした。しかし少しずつ国外にも行けるようになりプログラムもできるようになった、それは良いことです。その一方で、休暇を取る時間がない人もいます。このプログラムはたった3日で、海外に行くことと比べたらはるかにコストがかからない。その代わりに得るものは本当に多いです。このプログラムはパスポートの必要ない留学プログラムのようなもので、本当に良いプログラムです。


楽天との今後の取り組みについてお考えを教えてください。


今回のテーマはとてもチャレンジングだと思いました。でもこれを学生たちはやり遂げたので、彼らには多くの可能性があり多くのことができると思います。ですから、彼らがモチベーション高く取り組めて、産能大・楽天・世田谷区それぞれに得るものがあるテーマを設定するのが長く続くコツだと思います。我々はそのテーマを見つけられると思いますし、とても楽しみです。


最後に

自国と異なる文化的背景・価値観をもつ様々な人たちとのコミュニケーションを必要とする今回のようなプログラムは、ダイバーシティ&インクルージョンの考え方を会得する最適な機会であると考えます。最後に、今回のプロジェクト担当であり、次世代教育を担うエバンジェリストグループ担当者に、今後の展望について聞きました。


ダイバーシティ&インクルージョンを推進している楽天と、自治体の皆様や教育現場の皆様が共創することで、グローバルリテラシー育成(異文化コミュニケーション、共創)、多文化共生への理解を深める機会を提供できればと考えています。

それらの機会を通し、「社会とつながる学び」「実践的な課題解決」を図ることで、地域の担い手育成をサポートしていきます。

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