【開催レポート】和歌山県の一次生産者限定のEC化支援セミナー(農林水産業デジタルマーケティング総合支援事業)

2024年06月13日


和歌山県 農林水産部 農林水産政策局 食品流通課(以下、和歌山県)と楽天グループ株式会社 地域創生事業(以下、楽天)は、「令和5年度農林水産業デジタルマーケティング総合支援事業」の一環で、2023年7月にセミナーを開催しました。


セミナーでは、事業目的・ゴールを理解していただくとともに、事業者同士が互助の精神で並走できるようグループワークを実施。さらに和歌山県のEC業界をリードする地元企業の「早和果樹園」ご協力のもと、企業講話・早和果樹園オフィスツアーを行いました。


※事業運営担当よりこの場をお借りして、本事業に快くご協力いただいた早和果樹園の皆様に心から感謝いたします。


背景

楽天は和歌山県からの委託を受け、県内で農林水産業を営む事業者向けデジタルマーケティング総合支援事業を受託。みかん・柿・桃・アワビなどの農林水産業を営む17事業者に対し、約半年にわたるEC化支援活動を実施しました。



事業委託期間:

2023年6月~2024年2月 (支援活動は2023年7月~2024年2月)


事業目的:

ECを通じた県内農林漁業者等の販売力及びブランド力の向上を図るため、事業者が抱えるEC運営上の課題(サイトへの集客改善、購入率の改善、リピート率の改善等)に対して、その課題解決を支援するサービスを提供することで、事業者のECを活用した販路開拓及び販路拡大を支援すること。


業務委託内容:

・事業説明会を含めたEC基礎講座の開催

・支援事業参加者の公募

・キックオフセミナーの開催

・課題解決支援サービスの提供


取り組み内容

■目指すべきゴールの理解、チーム意識の醸成

2023年7月26日(水)、本事業キックオフセミナーを早和果樹園(和歌山県有田市)で開催。和歌山県・農林水産部 農林水産政策局 食品流通課(宮嵜様)からのご挨拶を皮切りに初回セミナーを実施しました。


本事業はみかん・柿・桃・アワビなどの一次生産を行う17事業者が参加。これからEC参入する方もいれば10年以上もEC運営をしている方など環境や課題感も異なるため、「健やかなEC運営を目指す」を合言葉に目標・仲間意識をもって事業参加してもらえるよう、冒頭に「目指すべきゴール」が明示されました。



<目指すべきゴール>
・ご自身の課題に対して、正しい打ち手を見つけていただくこと

・EC運営に必要な知識を、点ではなく面で身につけていること

・この事業が終わった後も、ECで進むべき道筋が見えていること

・参加者同士の横のつながりが醸成されていること


事前配布されたワークシートを使ったグループワークでは、「本事業を通して、将来どうなりたいか」「具体的に何を学び・習得したいか」をそれぞれ発表し合い、目標を周囲に宣言してもらうことで自身を鼓舞し、また他参加者の考えや目標を聞くことで相互理解を深め合うことができました。


■地元企業「早和果樹園」ゲスト登壇&社内見学ツアー

セミナー後半では、早和果樹園の代表取締役・秋竹氏と現・EC担当(開催当時)の青山氏によるゲスト講演を行いました。



「おいしいみかん栽培」と「おいしいみかん加工品」の製造にこだわり、“生産者ならでは”の意識を大切にしながら、生産・加工・販売の各産業を充実させた「有田みかんの6次産業」に取り組んでいるみかん農業におけるリーディング・カンパニーでもある同企業がどのような道をたどってきたのか。


秋竹氏からは、自社ECサイト立ち上げ以降の黎明期・低迷期の様子、ご自身で商品ページやメールマガジンを制作していた時代、売上は伸びているのに赤字になってしまった過去の失敗など紆余曲折を経て今の早和果樹園があることをお話いただき、これからECをスタートする参加者にとっても「どんな大きな企業でも最初の一歩があった」ことを知る貴重な機会となりました。


続いて現EC担当を務める青山氏からは「売上を新規・リピーターに分けて考える」「お客様との接点を増やす」をテーマに、各ECの売上構成比と新規・既存の割合がわかるスライドが映し出され、「新規と既存でとるべき施策が変わること、またもし売上が下がっているのなら行った施策のどこに改善点があるかを考えて次の一手を実施している」ことをお話いただきました。またお客様とのタッチポイントを増やすこと、接触してくれたお客様に対し、自社を知ってもらい関係性を継続させる取り組みや工夫も紹介されました。


早和果樹園がわかるマンガ(外部リンク)


セミナー終了後は秋竹氏のご厚意で社内見学ツアーが開催されました。オフィスフロア、商品発送を行う倉庫エリア、直営店を回り、WEB上では見えない企業文化や社内の雰囲気を知ることができ、参加者のモチベーションも高まった非常に良い状態でセミナー&オフィスツアーは終了しました。



■セミナー参加者コメント

参加者のコメントから、グループワーク・ゲスト登壇・社内ツアーを通じて、初めてのセミナー回で参加者同士が十分に交流を深められたこと、同業者が頑張っていることを知り励みになったこと、事業実施に向けての不安や懸念を少しでも払拭できた様子がうかがえました。


<参加者コメント>


・課題をそれぞれ持たれた事業者の皆さまと交流ができ、また、早和果樹園の皆さまのお話を聞くことや施設見学などができ、大変勉強になりましたし、温かい気持ちになりました。  


・参加者同士の交流が十分に取れた。また、早和果樹園様のこれまでの取り組み、これからの方向性など生の声が聞けたこと


・地元の同業者の方々と繋がりを作ることができ、また、皆様EC販売を頑張っていらっしゃることを知り励みになった為。


・初顔合わせというところから様々な事業者様のお話をお聞きすることができ、大変有意義な時間を過ごすことができました。


・講師の先生、また早和さんもはじめは苦労されたとのお話を聞かせて頂くことで、少し安心したと同時に、努力次第で自分にもまだまだ可能性があるんだということを実感することができました。  また、グループワークについても他事業者さんとお話することができ、とてもいい刺激になりました。


・緊張していたが、参加者の皆さまと思っていたより話をしたりお互いの問題点や改善点、どうなりたいかなどを話すことができた。 生産者さんとEC運営を兼ねている方が多く、生産のお話はそこまで詳しくないのでこれを機に伺うことが出来たら良いなと思った。


・周りの農家さんの目標や意見を聞き、共感する部分や、気付かされる部分がありました。ネットショップ運営で一線の方々はお客様の方しかみていない、というお話が印象に残りました。


・秋竹社長のお話は世代が一緒なので、共感することが大変多く、踏み込んだお話をいただき、大変有難く存じます。  またそれぞれの事業者様の取り組みや施策のお話も聞けて大変参考になりました。  次回からはもっと掘り下げた内容で、自社の現状に照らし合わせしながら、お話ができれば、自ずとイメージが出来てくるかと思います。


・1人で考えているのではなく、実際同じような悩みを持ち、取り組んでおられる方々の、熱を感じられたこと。


・早和果樹園さんでもECにおいて停滞期などもあったりコロナ禍など社会的影響で一気に伸びたり原因を内と外でしっかり分析する必要があると感じた


・問題点やそれに至るまでにどうすべきかなどを思っていてもなかなか視覚的に入るようにしたことがなかったので、書き出すことで更に明確化出来たので良かったと思う。また、その問題を共有し他の方の問題点を知ることで別の目線や角度で見ることが出来たのでそちらも良かったと思った。


最後に

「自分たちだけではなくみんなで協力して和歌山を盛り上げていきましょう!」という秋竹氏の言葉にもあるように、「横のつながり・連携」が地域活性における重要なファクターの一つでもあります。


本事業では事業者に向けた支援であると同時に、事業終了後の地域自走を見据えた「地域コミュニティの醸成」も含め活動をベースとしています。


国内ECの先駆者である楽天として、「高め合える同士とともに一人一人が自走し誇りをもって活動できている状態」を本事業の目指す姿とし、EC運営に関する知識を学べる機会の提供はもちろん、多くの事業者が抱える “孤独なEC運営”という課題に対しても支援できる活動に力を入れてまいります。

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