2024年11月21日
2024年7月19日、東京 二子玉川の楽天グループ株式会社(以下、「楽天」)のオフィスにて、掲題のワークショップが開催された。楽天と包括連携協定を締結し、これまで様々な事業を連携してきた4自治体の職員様にご来社いただき、開催。新潟県、新潟県上越市、長野県、長野県飯綱町職員様にご参加いただいた。楽天側は、データ活用を推進するメンバーと、各自治体様の地域コンサルタントが参加した。
今回のワークショップの目的は、今回限りで、各自治体が楽天の持つ各地域のマーケティングデータ(注)を読み、地域間での違いや共通点を比較・分析し、気付きを得ようというもの。その先には、自地域の抱える課題解決につなげたいという楽天の思いもある。地域の課題解決のサポートをしながら、ともに未来を考えてきた楽天だからこそ提供できる、貴重な機会となった。本レポートは、半日かけて行われたワークショップをレポートする。
(注) 個人や取引先を含む第三者が特定されない形で、楽天グループのサービス利用履歴等を統計的に加工したデータ
ワークショップ開催にあたり、主催者から開催の目的やねらいを説明。背景として、カジュアルにデータを見る機会を作りたいという思いから始まったことが述べられた。また、今回はデータをみて地域をマーケティングする機会を提供することはもちろん、楽天を介して自治体同士のつながりが深まることや、地域間での新しい取り組みを始める機会として使っていただきたいという思いが語られた。
続いてデータに基づく地域マーケティングに関するトーク。地域活性のため、今後一層広い視点を持ち、活用していくべきことが示された。例えば、データを用いたマーケティングは、企業がビジネス展開の際に活用するものというイメージを持ちがちだが、実は、自治体が地域の課題解決を行う中で非常に有効であるという。そして、自治体にとってのマーケティングとは、「その自治体を応援したい、関わりたいと思ってもらえるファン作り」が重要であると熱弁。さらに今後、人口減少や高齢化といった課題を抱える各地域は、その地域内の市民の満足度の向上だけでなく、地域外から需要を取り込んでいく必要がある。そのために楽天の持つデータが有効だという。
そのため、地域振興のためのマーケティングのステップは、自地域内のみならず幅広く市場を理解し、ターゲットを選定、その後施策を検討し実行、効果検証するという流れが必要である。そのいずれのステップにも、楽天の持つ地域データが活躍するのだという。多くの自治体様の課題解決をサポートしてきた楽天だからこそ、このようなデータ分析も、自治体ごとではなく地域間で広く連携することで、より施策の効果が高まったり、根本的な課題解決ができたりといった意識があることが、主催者より語られた。
地域にとってのマーケティングを考える
主催者の熱弁を受けて、自治体職員様もモチベーションが上がってきたよう。いよいよ実際のデータを見て、気づきを共有しあい、ディスカッションを進めることに。
まずは各自治体様職員様にてグループに分かれ、自地域のデータを確認する。これは、楽天が持っている、自治体ごとの商業、観光、ふるさと納税といった分野のユーザーの実績や属性を網羅したデータで、自治体様は普段なかなか見ることのできないものだ。自分の地域では、商業、観光、ふるさと納税の各分野において、いったいどんな人がどのように利用してくれているのか。彼らの属性はどんなものかなど、細かく見ていく。
その後新潟県、長野県と同じ県内の自治体様ごとに分かれ、気づきや疑問を共有し、テーマや方向性を定めて、データを基に実施できそうな施策を検討。やはり、同じ地域の自治体で共有をすると、悩みや動向も近く、気づきが多い様子。例えば、それぞれ観光や商業と言った強い分野はあるものの、比率が県と自治体で異なっているのはなぜか、逆に県と比較して少ない部分は伸びしろと言えるのでは・・など。「うちの地域は、ホテル数が少ない割に単価が高い。この分野を狙ってもいいかも」など具体的な意見も飛び出す。
ディスカッションの様子
具体的なアクションの検討段階では、さらにデータを細かく見ていく必要が出てくる。ふるさと納税にて、特定のジャンルへの寄付者ユーザーはどの程度増えているか、旅行分野ではどのような目的の旅行が多いのか、属性はどうか・・など幅広いデータを駆使して分析を進める。さらにふるさと納税ではユーザーを集めているものの、その後商業の利用は促進できていないといった、各分野の連携の可能性も探る意見が出る。「りんごは農家さんから出してもらえるが、なかなか出店ができないので、販売業務を担える第三セクターを介するのはどうか」「ビジネス出張で訪れるビジネスマン向けに、気軽に特産品を買う場を作り、地域の魅力を知ってもらう機会を増やせないか」など、すぐにでも実行に移せそうな案も生まれていた。
さらに楽天側からも、「自地域だけでは好調でも、全国と比較するとどうか」など、全国のデータがあるからこそ、比較ができることも示される。さらに、アクションや生まれたアイディアに対して「楽天で受け付けている物産展などは、テストマーケティングの場として活用できるのでは」などとさらに発展ができるような意見も。
その後、それぞれが今回のデータ分析を通じて考えた気付きや今後のアクションについて発表を行った。最後に楽天側の地域データ推進メンバーから、楽天の持つデータアセットの説明があり、ワークショップは終了した。
今回は、まずデータに触れ、考える機会を作るといったワークショップであった。しかし、ユーザーの細かい属性なども知りたい、数値が高いデータの背景にある理由まで知りたいと、データをきっかけに様々分析の切り口が生まれた様子だった。
実際に参加された自治体様からは「データに触れる機会もそうだが、自地域でも県と自治体の交流や連携は、なかなか少ないのが実態。その場づくりもしてもらえるのはありがたい」「もっといろいろな視点で、データを見てみようと思った」「中長期の施策立案に使えそう」と言ったお声も頂いた。
今回のワークショップの背景には広域連携というキーワードがある。観光やふるさと納税で一つの地域が盛り上がっていても、隣の自治体はそうではないという状況もある。今まで、隣接する地域と競ってきた地域活性化だが、今後はより広く見ていく必要がある。近い課題や未来像を抱えた地域同士、連携を進め、より広い視野で一緒に共有・共同ができるのではないか。そのつなぎ役として、楽天も入ることができれば。そのような発想から生まれたワークショップだった。これからも、地域同士が手を取り合い、日本を元気にできるような未来に、楽天もお手伝いができればうれしい。
本ワークショップにご参加いただいた自治体の皆様。よい笑顔です。
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