2023年12月01日
2023年5月23日、楽天グループ株式会社(以下、楽天)は大阪大学の学部生を対象とした「阪大SDGs学入門」で講義を行い、ステークホルダーや地域自治体と一丸となって、社会課題解決の道筋をつくるという楽天が目指すSDGsの形について思いを語った。
楽天グループ株式会社 サステナビリティ部の担当者が授業を実施
前半のテーマは『企業とステークホルダー』
講師は外部ステークホルダーとの協働、社員ボランティア、社内サステナビリティ教育などを行う部署の担当者が受け持った。
楽天のミッションは『イノベーションを通じて、人々と社会をエンパワーメントする』ことだ。この思いはサステナビリティの概念と共鳴している。楽天は、創業から今日までミッションに共感した店舗やビジネスパートナーと一緒に歩んできた。サステナビリティについてもステークホルダーと共に目指す必要があると考えている。
サステナブルな企業活動を行うために、楽天では2021年に楽天の重点課題(マテリアリティ)を見直し、13の課題を特定した。
この作業の過程で、従業員や投資家、取引先などのステークホルダーにアンケートを実施し、2030年に向けて会社全体で目指す姿を事業基盤と3つの重点分野にまとめた。
3つの重点分野である「従業員と共に成長」「持続可能なプラットフォームとサービスの提供」「グローバルな課題への取り組み」については、社会の状況を見ながら、今後楽天が注力して取り組むべき重要な課題で、それぞれの課題はSDGsと密接につながっている。
重点課題でもあるSDGsの目標12『つくる責任 つかう責任』への貢献を目指し、楽天市場で買うことができる、サステナブルに配慮して作られた商品を紹介しているのが『EARTH MALL with Rakuten』だ。
楽天で取り扱うサステナブルな商品の例
楽天市場の中には素晴らしいサステナブルな商品が埋もれているが、たくさんの商品から探し出すことは非常に難しい。「サステナブルな買い物をしたくても、どのように探していいかわからない」という声に応えて、サステナブルな商品を探しやすく、買いやすくしたのが『EARTH MALL with Rakuten』だ。ここでは楽しみながら利用できるようなコンテンツを充実させ、SNSでの情報発信も積極的に行っている。また、大阪大学SSIと産学連携でサステナブル商品の基準を作るという取り組みも行っている。
楽天では、ステークホルダーと一緒にサステナビリティを推進することが大切だと考えている。『ステークホルダー』というと単純な利害関係を意味することもあるが、楽天では、従業員やビジネスパートナー、投資家やエンドユーザーだけでなく、行政や地方自治体、ソーシャルセクター、さらには未来を担う次世代も重要なステークホルダーと考えている。
様々な立場、考えのステークホルダーと社会課題に取り組むためには、まずは十分に対話することが重要である。そのため、現在『Dialogue for Change with Rakuten』というステークホルダーとの対話を起点にし、ポジティブなインパクトを生み出していくための活動も始めている。企業だけでなく、学生などさまざまな人々とのフラットな対話を通して、新しいビジョンや今後に向けたアイデアを話し合う。グローバルな課題や地域課題について話し合うことで、1つの企業や団体、地域だけでは解決できない課題を共同で解決していきたいと担当者は語った。
地域創生事業エバンジェリストグループに所属しながら新潟県長岡市役所に業務出向している担当者
授業の後半は、新潟県長岡市に業務出向しながら、地域創生事業の取り組みの情報発信などの業務を担う地域創生事業エバンジェリストグループの担当者が登壇。楽天の地域創生と店舗の事例について紹介した。
地域創生事業では全国の自治体と連携して『楽天サービスを活用した地域課題の解決』『地域の戦略と稼ぐ力づくり』『マーケティングデータ活用によるDX促進』に力を入れている。
特に、楽天市場には地域の個性豊かな店舗がたくさん出店しており、そのような店舗をサポートすることで、「地域事業者の稼ぐ力の向上」を実現することができる。産学官連携による地域創生の事例として兵庫県公式アンテナショップ「ひょうごマニア」の取り組みを紹介した。
兵庫県公式アンテナショップ「ひょうごマニア」は、1999 年よりファッションサイト「イーザッカマニアストアーズ」を展開している有限会社ズーティー(神戸市)が、県からの委託を受けて運営している。同社は楽天市場にある5万店舗の中からベストショップを決定するショップ・オブ・ザ・イヤーを何度も受賞している人気ショップだ。
2022年、産学官連携の取り組みとして「ひょうごマニア」を通じた兵庫県の魅力発信をテーマに、県内の武庫川女子大学でEC実践授業を行った。ネットでモノを売るプロと一緒に特産品の商品PR、販売促進を経験することで、学生たちが地元の産業に対する理解や関心を深めるきっかけを作ることができ、兵庫県が抱える人口減少、若者の県外流出という課題に対してもアプローチすることができたというものだ。
授業を担当した担当者自身も、三重県の小さな村出身で、かつて祖父母が米作りを廃業するのを目の当たりにした経験がある。「もし自分がECを知っていれば地元に残ったかもしれないし、 地元が活性化していたかもしれない」という思いがある。いまは、楽天から業務出向という形で自治体職員としても働いていて、「地域には面白い人たちがたくさんいて、その場所にしかない魅力がある。それぞれの地域の個性を全国に伝えるツールとしてECがもっと広がり、地域に関心を持つきっかけづくりに繋げていきたい」と感じている。
楽天市場では現在約5万6千の店舗があり、日本全国に出店者がもっと増えることで、地域の課題解決や地域経済の活性化に繋がるはずだ。
楽天も地域の事業者が成長していくことで一緒に成長してきた。これからも日本全国の事業者の成長をエンパワーメントすることで、社会をもっと豊かにしていきたいと考えている。
授業はオンデマンド方式で行われた
「SDGsの課題解決には興味があったが、自分には解決なんてできないだろうと心のどこかで思っていた。しかし今回の授業を通して自分でもできることが少なからずあるのではないかと思った」
「日本のどこに行っても特色があって、どこの地域でも自分の地域に誇りが持てる社会が実現できれば日本はよりよくなるはず」
「地域やステークホルダーのニーズを理解し、地域社会に根付いた取り組みを行いつつも、世界を視野に入れておくことで、地域が世界市場に進出する機会も確保できる」
「大人だけではなく子どもだって良いアイデアを出せる可能性は十分あるし、違った視点から課題を見つめることは大切。企業は、色々な立場の人を巻き込んで新たなビジネスを展開していくのが理想」
これらは今回の授業を通じて学生たちが送ってくれたアンケートだ。
今回紹介した以外にも、楽天は日本中の地域や事業者とさまざまな取り組みを行っている。これら一つ一つを企業ごと、さらには地域ごとの取り組みを可視化することでさらに大きなインパクトとして広げていけるよう取り組んでいくことが必要だ。
地域の強みと楽天の強みをかけ合わせることで新しい価値を作り出すことができる。そして、そこに次の世代を担う学生が交わることでさらに新しい可能性が生まれるかもしれない。
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